fretless化

ある日のこと突然何を勘違いしたか「ベースが弾けたらいいなあ」と

ふとそんな不遜(?)なことを思いついた。先月末のことだ。

それはたまたま楽器屋で中古のベースを見たからなのか、それとも頭の中に

ベースのサウンドを求める切実な意志が存在したからなのか自分では全く

わからない。本当に、何の前触れもなくある日突然「そうだ、ベースを」と

思ったわけだ。人の心の動きってわからないものですね。

 

 

とにかく、何はともあれベースを購入した。

中古で1万ちょっとのやつだ。今どき中学生でも買わないような。

というか、誰も手をつけないで長いこと楽器店の店頭に放置されていた

やつだったから、ベースをやる人間ならまず選ばないようなコンディションの

ものだったのかもしれない。でも全くのドシロウトの僕にはそれがどんな

状態なのか皆目見当もつかなかった。少し試奏させてもらって、ノイズが

乗り易いことを除けばそれ以外は何の問題もないように思えた。

 

 

それでビクビクしながら買ってるところをエンジニアの喜多野さんに目撃

されたりしながら(恥)とにかくその子を連れて帰宅した。

何かとても良い買い物をしたように思えた日だった。

 

 

家に帰っていざ弾いてみると右手をどこにどう置くのかもわからない。

左手はまあ「ギターとほとんど同じだろ」くらいにしか知識がなかった。

you tubeでベースの人の映像をいくつか見て手つきを真似てみる。

 

 

しかしながらどう考えても右手の角度がギターと違う。

すぐに右手人差し指と中指の爪が欠けてしまった。それに力が入り過ぎなのか

まるで初めてアコギを弾いたときのように指先が痛い。いやアコギで痛い

のは左手だけど、ベースに関しては右手の指先がヒリヒリしてきたんだね。

完全に力み過ぎ。

 

 

そもそも親指を置く場所がyou tubeを見てても人によって全然違う。

どういうことだろう。特に「ここ」と決まってるわけではなさそうだ。

世の中の人はみんな当然のようにベースやギターを弾くのでそんないくつかの

疑問は実際に弾いてみるまで思いつきもしなかった。「? ? ?」

 

 

でも練習してみてこんなに楽しいものはない。

これがトランペットやバイオリンだったらこうはいかなかっただろう。

ギターと共通点のある楽器だからとっつき易いのだ。何でそんなことに

今まで気がつかなかったんだろう?

 

 

でもギターだってまともにちゃんと弾けないと常々痛感してるのに

他の楽器なんてこの歳になって真正面から向き合おうとは思うわけも

なかったんだね。だから恐れ多くというか、それこそ不遜にも

「ベーシストになろう」と考えているわけではないのです。

ただ、触ってみて妙な親近感を感じたことに自分で驚いた。

自分のパーソナリティと不思議と合ってる気がして。

 

 

敬愛する某steelbeckさんも良いベースを弾く。彼はギタリストだけど

良いギターを弾く人はベースも大人なのかしら、と想像したりもしたけれど

やはりアンサンブルに対してまっとうな人はどんな楽器でも信頼できるような

距離感で扱えてるような気もする。

 

 

 

そう、それはともかくだ。

買って数日のうちにみるみるネックが反ってきた。逆反りというのかしらん。

弦がビビってしまって解放で弾いても音が出ない。そんなこと普通ある?

うーん、これが誰も買わない理由だったのかも。。。とか思いながらリペアを

検索する。でもどこも高い。せっかく安く購入したのにね。

とにかく自分では直せないと判断した。

 

 

それがある日、ネット上で偶然発見してしまった。

プロのリペアマンではないとご自身で称していて、とてもリーズナブルな

金額でベースを扱ってくれる人を。でもそれはリペアマンとしてではなく、

フレットレスに改造しませんか?というような触込みだった。

 

 

 

告白しよう。

僕は迷った。なにしろその触込みを見るまではフレットレスにしようなんて

大それたことこれっぽっちも考えてなかったのだから。

せっかくフレットのあるベースを買って最初の1週間、とても楽しい恋愛初期の

ような時期だったのにいきなり状態が悪化して思うように動けなくなり

ましてやフレットを全て抜いてしまうとなれば大手術を必要とする。

その結果、もともとのベースとは全くキャラが別人になってしまうわけでしょう。

フレットレスベースというのはそれくらい僕にとっては未知の領域だった。

 

 

まあ、この流れはあまり一般的ではないだろう。

つまり、反ったネックが直ればそれで良かっただけの話なんだ。

でも一度 頭にフレットレスのイメージが湧いてしまうと自分がやるような音楽

にはそのほうが合ってるんじゃないかという思いがむくむくと膨らんできた。

 

「いいや、それは本末転倒だ!君はただただパラノイドアンドロイドをコリンの

ようにブリブリと安定した感じで弾きたかっただけのミーハーなギタリスト的な

欲求でベースと戯れていただけだろう?」

 

そんな思いが僕を引き止めようと頑張ってくれたのだけど、とうとう僕は

フレットレスにすることに決めてしまった。ああ、独断。

でもそのフレットレス化してくれる方の文章を読んでて「この人なら大丈夫

だろう」とふと思ったんだね。それが一番大きな後押しになってくるくると

ベースを梱包して「はこBOON」で発送。購入後、2週間目の出来事だった。

 

 

それからメールで何度もやりとりをさせてもらって、その度に現状を画像で

送ってくれてとても親身になって対応していただいた。

それでわかったことだけど、このベースは過去に一度フレットを交換されて

いるのではなかろうか?と。しかもその時の処理がどうもよろしくない、と。

 

 

逐一、僕に状態の説明をしてくれて、僕の意向を確認してくれて

その上でどのような方向性にしていきたいのかを相談に乗っていただいた。

普通の人ならつけないであろうフィンガーレストまで取り付けてもらい

そこにアースポイントを設けてノイズ処理を施してもらったり。

フィンガーレストはね、まあ異論のある人は多々おられるとは思うけれど

個人的に取り付けてみたかったんです。特に勧められたわけではなく。

 

 

なにしろ右手がドシロウトだから今のうちならこれからどんな弾き方にでも

矯正していける。自分の欲しい位置に一つ余分に指を置ける場所を設置して

もらっただけのつもりで。

 

 

というわけで発送して約1週間後にその子は帰ってきた。

とても手際が良い。仕事が早い。(そして信じられないくらい安い)

フレットは全て抜かれて溝は綺麗に埋められていた。僕はこの溝の埋められた

指板というのがルックス的にとても好きなんだな、と手にして初めて思った。

 

 

ネックは元通りになって返って来た。それどころか弦高は更に低くなって

とても弾き易い。ノイズは皆無だ。実際のベースの値段以上の買い物をした

と言っても過言ではないと思う。このままネックが安定していてくれることを

祈るのみだ。(それが一番心配)

 

 

一昨日の朝にベースが到着して早速弾き始めたら生まれて初めてのフレットレス

の感触にあまりにも嬉しくなってしまい思わず簡単に録音した。

いや、ベース自体がまだこの人生で触りはじめて2週間なので技術は低い

のだけど、とにかく最初の感じを記録しておこうと思って。

 

 

それで恥さらしを承知でその日の朝に適当に弾いて録った音に適当な映像を

つけて3テイクyou tubeにupしてみた。また1年ほど経過したらこの映像を

観てベースを始めたスタート地点とのギャップを再確認しよう。

 

 

まともなベースの弾き方はこれからちょっとずつ覚えていくだろう。

今はただギターで弾くような弾き方で音色が違うだけだ。

リペアしてくれた方に(ここではお名前は伏せますが)感謝☆

 

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コメント: 6
  • #1

    野村昌秀 (日曜日, 25 3月 2012 11:38)

    フレットレスで長いこと弾いていると、フレットのあるギターやベースのフレットの真上を押さえる癖がついて、戸惑った経験があります(^^;)

  • #2

    kei takasugi(タカスギケイ) (日曜日, 25 3月 2012 12:03)

    お久しぶりです☆(10年以上でしょうか?) てゆうか、確かにピッチを取るのに未だ慣れなくて(^_^; 感覚的にはギターでスライドバーを弾く時のピッチの取り方をイメージしてます。それから指板をずっと見てないとズレますね(恥) コメントありがとうございます。

  • #3

    steelbeck (日曜日, 25 3月 2012 13:57)

    はは~、観ちゃった。(^_^) 良いじゃん。
    演奏もさることながら、こういう映像ってどこで入手するの?

    それもさておき、以前言ったかも知れないが実は僕も昔フレットレスベースを買った事があるんだ。ちゃんとしたフェンダーのジャズベだよ。別のベースを試すつもりで行った楽器屋さんにあって、たまたま弾いたら面白くてそれを買っちゃったのだけど、結局は手放したんだ。弾くのが面白かったが故にすっかりソロ楽器になってしまってた。(笑)まあ、ホントのところはベース本来の役割として他の楽器と同時に合わせるにはピッチひとつとっても難しかったな。独りで弾く分には問題無いから今思えばそれでも持っていれば良かったね。ともあれ、新たな展開ですなー。

  • #4

    kei takasugi(タカスギケイ) (日曜日, 25 3月 2012 15:07)

    観られた(^_^; そうなんですよね、ピッチがすごく難しい。でも僕はそれ以前に右手の構え方さえままならないレベルで。。そしてソロ楽器としては非常に楽しいです。まあ普段のソロスタイルなら楽器は関係ないから。でも家では一応アンサンブルに適した練習を・・・ちょっとずつ(照) ちなみに映像は自分でデジカメで撮影したものをちょこちょこっと編集する程度です。ライブの動画と同じカメラで同じように◎ ジャズベ手放しちゃったんですね。惜しい〜。

  • #5

    steelbeck (日曜日, 25 3月 2012 20:53)

    ああ、デジカメで撮ったものを加工してるんだね。そうだったか、なるほどー。やれる事はなんでも自分でやらなきゃだねー。(笑)
    実はジャズベはトラスロッドが限界でもう絞められないってのが後で分かったね。購入前に確かめておくべきだったと後悔してさ。現状で弦高等は問題無かったからその時点で手放したの。まあ、楽しめたから良いよね。

  • #6

    kei takasugi(タカスギケイ) (月曜日, 26 3月 2012 06:15)

    自分でやると楽だし早いんですよね。演奏を録音して映像を編集してyou tubeにupするまでに30分程度しかかからないから◎ 中古楽器に関しては購入後に不具合を発見するとちょっと複雑な心境になりますよね。ネック反ってきたとき、弦のテンションよりも僕のテンションの方が大幅に下がりましたもん(泣)